7Days Book Cover Challenge Day5【May 3】
こんばんは。
今日は、「脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす (ブルーバックス)」(2016)という本を読んだのでご紹介します。
その道のエキスパートが広く浅く紹介してくれる著書でもあり、
“文系”の方もトライする価値のある本だと思います。
人工知能の歴史
検索すれば、多数の情報が載っている内容とはなりますが、ざくっと話します。
実は、人工知能は新しい技術ではありません。
今は第三次ブームと言われており、過去に第一次ブーム(1950年代後半~1960年代)と第二次ブーム(1970年代半ば)を経験しています。
また、第一次ブームの時は、アメリカのダートマス大学で1956年に開催された人工知能の歴史的会議があったそうです。この会議には経済学者のハーバート・アレクサンダー・サイモンが参加していました。
サイモンは、行動経済学をかじったことがある方は聞いたことがあるかもしれません。
一般的な経済学では”合理的経済人”という、なんでも合理的な判断ができる、スーパー優秀な労働者であり消費者を想定します。しかし、行動経済学では、実際の消費者はそれほど合理的な判断はできないとして、経済学に心理学の要素を取り込もうということから始まる学問です。
残念ながら、当時は、コンピューターの性能が今よりずっと悪かったことや、
開発スピードが遅かったことからブームが廃れてしまいました。
最近は、コンピューターの性能は格段に向上したことに加え、
信じられないほどインターネットが普及し、ビッグデータを入手出来るようになったことから、
第三次ブームが起きていると言われます。
一人一人がスマートフォンやウェアラブル端末を身につけるようになり、
個人の行動がデータとして収集できるようになったことが、
どれほど画期的かは想像が容易いでしょう。
心を持ったロボット
人工知能は、人間を越せるのか。
人工知能には難しいと言われているのが、”心”です。
人間は知らずのうちに、相手の心を読み、自分の心のままに行動をします。
元々、人の心は、人類の発展とともに必要に迫られて発達したのだそうです。
他の動物と比べて体が小さく、力も弱い人類が、
他の人と協力したり、高度なコミュニケーションをすることで生き残ってきたとすれば、
お互いの心を尊重し、探り合う必要があったことは納得です。
ソフトバンクの孫正義社長は、将来、ロボットが暴走することを防ぐために、
ロボット自身が心を持つことが役に立つと考えていると聞いたことがあります。
「こんなことしたら人間が痛い思いをするかな・・・」とかロボットが考えるのでしょうか・・・?
先日、東京都の感染症対策に関する記者会見でも登場したPepperくんは、まだまだ完成系ではないものの、
“愛”を知るロボットの立役者になるのでしょう↓
ソフトバンクは2015年2月に家庭用の感情認識ロボット「Pepper」を一般販売する。6月5日の記者発表会で、孫氏がロボ…
人工知能を社会実装するために
人工知能という技術は、一度開発すれば終わる技術ではありません。
画像認識技術であれば、継続的に画像を覚えさせる必要があるかもしれませんし、
適宜、良いデータを入れられるよう、継続的な開発をする人手が必要です。
将来的には、そこも自動化可能かもしれませんが、
当面は、世の中に出た後に、そういった人手に賃金を払う必要があります。
(中国は労働力が豊富なため人工知能の開発が進んでいるとか)
人工知能の導入後、運用すればするほど赤字が出るようでは、
誰も導入できないでしょう。
また、人工知能には、得意なこと(反復作業)と、苦手なことがあります。
社会実装されるためには、そのような人工知能の特性と、社会課題の双方を理解した人物の力が必要ではないでしょうか。
おわりに
人工知能という技術の歴史や特性について、著書は広く浅く書かれた名著だと感じました。
(私にはちょっと難しい部分もありましたが)
“文系”と”理系”の双方がお互いのスキルを尊重し合い、
渡り合えると良いのですが。
ぜひ、他にもおすすめ著書があれば誰か紹介してください。。。