“コンサル”になりたい学生の皆さんへ
こんにちは、現役コンサルタントのワラカミです。
今回は、こちらも就活生の方に聞かれるこんな疑問にお答えしたいと思います。
これは、コンサルの仕事のプロセスと密着に関係しています。
私は過去に、戦略コンサル、経営コンサル、ITコンサルの3つの職種を経験しており、どのコンサル職種の方にも共通しているものです。就活生の方によく聞かれる各コンサル職種の違いについては、こちらも合わせて読んでみてください!
"コンサル"になりたい学生の皆さんへこんにちは、わらです。先日、リクルートスーツを着た就活中?の方を電車でお見かけしました。不要普及の外出制限がかかる中、なかなかOB訪問にも行けていないのかなと思っています。そこで、今日[…]
“コンサル”ってブラックなの?
今回は、就活生の方から聞かれたことがある質問「資料作っているだけなのに、なんでそんなに働き方がブラックなんですか?何に時間がかかるんですか?」に回答します。
回答としては、
・ブラックである = ある程度「Yes」
・資料を作るのに時間がかかっている = 「No」
だと思っています。
時間がかかるのは、資料作りではなく思考プロセスが原因
コンサルワークに時間がかかってしまう原因は、”納得がいくまで「考える」ことを繰り返す“思考プロセスに原因があります。
“コンサル”のお仕事は、「考える」→「伝える」の繰り返しです。
もう少し「考える」を構成する要素を掘り下げるならば、私は上司から「Fact、Think、Action」だと教わりました。
- 事実を整理する(Fact)
- 事実を確認する(Think)
- どのように次に進めるか施策を捻り出す(Action)
そして、最後に「伝える」というプロセスが入ってきます。
コンサル仕事の思考プロセスとは?
もう少し詳しく解説します。
事実を整理する(Fact)
新人時代の私は、お客様から聞いた事実を鵜呑みにしたまま、それらしいフレームワークを当てはめて、”考えたつもり”になっていました。
しかし、当然ながらこの“整理”は”フレームワーク”を当てはめることではありません。偶然、整理の仕方が”フレームワーク”に落ち着く場合には問題ないものの、最初から当てはめようとした場合には”ダサい”と捉えられてしまいます。何より、そんなに簡単なことならばわざわざ高いお金を払ってまで”コンサル”に委託しないでしょう。よって、どのように整理するかを地頭で考えなければなりません。
実際の例は守秘義務の関係上お話しできませんので、パッと思いついた例で”整理の仕方”をお話しします。例えば「新幹線の利用者数を増やすには」というお題があったとします。(本当にあったかは知りません)。
新幹線の利用者をどのように整理しますか?
まず、自分の頭で考えてください。ここで、そそくさと調べてはいけません。私もよく”すぐ作業に移るな!”と怒られました。
ここでは、そう言いながら、「平成27年度 幹線鉄道旅客流動実態調査」を使ってしまうのですが、よくある整理の仕方では、「性別」「年齢別」「目的別」などがあります。
余談ですが、戦略コンサルの時はよく政府統計のお世話になりました。経営コンサルやITコンサルの時は、事実をかき集めていました。前者は前者で、データの海に流されて大変でしたし、後者は後者で、そう簡単にデータはもらえないので、じわじわと調査を続け、お客様の知らない間に”お客様も気がついていなかったデータ”を作ったりで大変でした。
■性別
■年齢別
■目的別
事実を確認する(Think)
事実の整理が終わったとします。
新幹線の利用者数から何が言えると思いますか?
ここからは人にもよると思います。また、複数の切り口を併用することも多くあります。例えば、40代以上の女性(年齢別×性別)などです。
伝えたいこととしては、前段の整理の仕方(=事実の切り分け方)の違いによって、導き出される考えが多岐に渡るということです。”女性が少ない”や”高齢者が思ったよりも乗っていない”など正解はないと思います。学生の頃のテストのように答えを探すのではなく、あくまで”あなたの考え”です。
どのように次に進めるか施策を捻り出す(Action)
さて、どうすれば新幹線の利用者が増えますか?
先ほどの例では、”女性向け”のサービスかも知れませんし、”高齢者向けのサービス”かも知れません。
また、この施策は”論理筋道が立っているもの”である必要があります。
突拍子もないアイデアをただ言えば良いのではありません。
しっかりと裏を取ることが重要です。また、お客様の誰もがその論理に乗ることで「今まで気がついていなかった切り口だけれど、確かにその通りだ!」と納得しなければならないのです。
もし、論理が破綻している、または効果的な施策が思いつかない場合には、またFactを見直したり、Thinkし直したり、何度もこの思考を繰り返します。
「伝える」ことも難しい
素晴らしい施策を考えついたとします。次はその施策の価値を「伝える」必要があります。そのためには、下記のようなことをします。
①”誰でも同じ論理により、同じ結論に至る”ことができる論理筋道を考える(既述の通り)
②誰から巻き込むことで、その施策が最も通るか”コミュニケーションプラン“を考える
前回の記事でも述べたように、必ずしもお客様内部の関係者全員がコンサルを雇うことに歓迎なわけではありません。時には、正義感溢れ、孤軍奮闘するある社員の方がコンサルチームの直接のカウンターパートであることもあります。この場合、その孤軍奮闘する社員の方の意見が論理破綻している場合には、そのことを正直にお伝えしますし、その意見がやっぱり正しいよねという場合には、一緒にお客様先で一人でも多くの仲間を獲得できるよう、”コミュニケーションプラン”を考えるのです。
“コンサル”の価値とは、「間に入って調整ができること」・「話を前に進められること」・「話をまとめられること」
ここまでコンサルの仕事について、基本的なプロセスを延々と話してきました。なぜ、ここまでするのかという話です。
根本的に、コンサルタント業務というのはサービス業です。製造業のように何かモノを生み出す仕事ではなく、”アイデア”や”考え方”こそが価値なのです。その価値をお客様が納得いただけなかった場合には、トラブルものになってしまいます。
また、これだけの”手間や暇”をかけられるお客様はいないのです。ただでさえ、通常業務を抱えているお客様の代わりに、本当は変えたいけど変えられない問題や、コミュニケーションプランを真剣に考える、話を少しでも前に進めることにバリューがあるのだと思います。
海外では、あまりコンサルは重要な仕事と思われていないケースもあります。しかし、あえてキツい言い方をすれば、日本の会社員はなかなか本当のことを言えません。ドロドロしている現場もあります。そして”外資”をなぜか恐れています。
その中で、お金を払うことで仲裁役を買って出てくれて、進まなかった話が前に進み、ちゃんとしたドキュメントとして文章化する(後から覆せない)ことは、日本においては重宝されるのです。
おわりに
今日は、なぜ”コンサル”はブラックと言われるのか、”コンサル”の仕事のプロセスから紐解いてきました。
どのレベルまで持っていくかは個人の判断です。また、最近では、会社の規則で強制退社になる場合もあり、ブラックではないコンサルファームも増えていると聞きます。
ただ、よほどのケースを除き、経験がないうちは、考える力、伝える力が十分ではありません。
最初に述べたように、”資料を作る”だけなら、全く時間はかからないのです。
むしろ、最近の新卒の子たちは、パワーポイントの使い方がうまく、作業に入ればとても早く仕事を終えてしまいます。
もっと詳しく知りたい人へ
「イシューからはじめよ」という本を紹介しておきます。こちらは現役コンサルタントなら誰もが読んだことがある、いわばバイブルのような本です。もし、本当にコンサルを目指したいということであれば、こちらはぜひ読むことをオススメします!