こんにちは。西洋美術史が大好き歴5年のワラカミです。
海外旅行などで美術館に行くと、必ずと言っていいほど展示されている宗教絵画。
グロテスクだし、観てもわからないなど、苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか?
私も数年前まではそうでした。しかし、学生時代に大学の授業で宗教絵画の見方を学んでから、
美術館での楽しみ方が180度変わりました。
今日は、そんな美術館が苦手な方にこそ実践して欲しい楽しみ方と、オススメの関連書籍をご紹介します。
ちなみに、これはデートで披露すると完全に引かれるので、一人で心の中で楽しむことをおすすめします!笑
クイズ的に宗教絵画を鑑賞する
まず、結論から。
「宗教絵画は絵の中に散りばめられたヒントをもとにその題材が何かを当てるゲームである!」
絵画鑑賞と聞くと、ピカソに代表される近代アートや、モネの睡蓮などに代表される印象派の絵画を想像される方も多いのではないでしょうか?
では、なぜそれらの絵画は当時、”革新的”と思われたのでしょうか?
もちろん理由は色々ありますが、その理由の一つは「宗教絵画的な型」を打ち破るスタイルの絵画だったからです。
ところで、その型をご存知でしょうか?
最近では、「アート思考」に対する注目度が高まっていますね。
このクイズ的で古典的な宗教絵画の鑑賞方法は「正解を探しに行く鑑賞方法」なので、
全くアート思考とは異なります。。。
つまり、こういうことだと私は理解しています。
アート思考的鑑賞→答えがないものを想像する世界
もし、アート思考的鑑賞方法にご興味のある方がいれば、こちらも合わせてご覧ください!↓
突然ですが、ピカソの絵の意味ってわかりますか?私は学生時代、教養科目として西洋美術史を学んで以降、すっかり美術に詳しいつもりでいました。ただ、近代アートは全く理解ができないと頭を悩ませていました。今日は、そんな方に明日す[…]
個人的には、「アート思考」ももちろん面白い鑑賞方法だと思っています。
同時に、絵が好きな人を増やしたい!
絵が苦手な人ほど、論理的な鑑賞方法を知っておけば、より美術館が楽しくなること間違いなしです!
早速、クイズ的に鑑賞してみよう!
では、早速ですが、こちらの絵をご覧ください。
キリストと思われる幼児の前におじさんが跪いています。
先に正解をお伝えすると、これは《東方三博士の礼拝》というキリスト教のお話しを題材にした絵画です。
ちなみに、先ほどお見せした絵は、ジョットが描いた制作年は1304年から1306年で、スクロヴェーニ礼拝堂に所蔵されています。
最も美しいと言われているフレスコ画作品の1つです。
ざっくり言うと、イエス・キリストが生まれたという噂を聞いたヘロデ王が、
本当かどうか確認してこいと三人の博士を使いに出したと言う話です。
実は、ヘロデは自分の王座を奪われることを恐れて使いを出しました。
その後、「幼児虐殺」というキリスト教のお話しに繋がっていきます。
では、なぜ、この作品が《東方三博士の礼拝》を題材にしているとわかるのか?
このお話を題材にしている場合、必ず以下の要素が描かれているためです。
- 3人の博士(老人・中年・若者で、アジア人・アフリカ人・ヨーロッパ人)が描かれている
- 長老の「カスパール」が聖母の膝に抱かれている幼児キリストの前に跪いて、黄金の贈り物を捧げている。
- その後ろにアフリカ人で中年のバルタザール、最年少のメルキオールが描かれている。
どのように題材を学ぶのか?オススメ書籍紹介
さて、題材はもちろん今回ご紹介したもの以外にもあります!
しかし、そんなに数はありません。有名なものをいくつか覚えるだけで、
楽しみ方が変わりますよ!
ここからは、題材を学べる書籍を3冊紹介します。
Step1:聖書のストーリーを理解『聖書物語』
子供向けに書かれた本ですが、旧約聖書~新約聖書まで書かれています。
教養として知っておくにはおすすめの書籍です!
Step2:検索のための辞典「西洋美術 解読辞典」
高階秀爾先生をはじめ、今では大学の有名教授になられている方などもメンバーに入って、編纂された著書です。
登場人物の名前からでも、お題からでも、調べればその絵の特徴を丁寧に記載してくれています。
若干、表紙がハレンチなのが気になりますが、カバーを外してしまえば問題なし!
ちなみに、私はこの本を神保町の古本市の中で掘り出して購入しました!
Step3:キリスト以降の聖人たちのお話し「キリストの聖なる伴侶たち」
キリスト没後、そのお弟子さんたちのお話が実はあるので、聖書だけを理解しても全ての宗教絵画の題材を網羅することはできません。
この本を読むと、その後の聖人のお話をある程度網羅することができます。
おわりに
旧約聖書と新約聖書があるのが厄介ですが、基本的に、題材にされるテーマというのは限られています。
一度覚えてしまえば、どこの美術館に行っても「これはあの題材に違いない!」と自分でわかるようになります。
さらに、以前観た同じ題材のものと比較して、描かれた時代背景と照らし合わせ、
「なぜこの題材を選んだのだろう?」と考え始めたら、もう宗教絵画が楽しくなってしまいます。
ぜひ、皆さんも美術館をもっと楽しんでください!
それから、繰り返しになりますが、恋人や好きな人の前では披露しない方が良いです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!