【読書感想】Netflixの歴史がわかる!『Netflix コンテンツ帝国の野望 :GAFAを超える最強IT企業』を読んだ感想

こんにちは。年間100冊読書をしている20代会社員のワラカミです。

この記事を書いている2020年、韓国ドラマの「愛の不時着」や「梨泰院クラス」が話題になっていますね。
また、2020年にはあの人気アイドルグループ嵐のドキュメンタリー番組を独占配信している・・・そう、Netflixです。

今日は、そんな知られざるNetflixの社史がよくわかる『NETFLIX コンテンツ帝国の野望 :GAFAを超える最強IT企業』(2019/6/26)をご紹介します。

Netflixの歴史は意外と長い

今でこそ「エンターテイメント業界再編の起爆剤」とも呼ばれていますが、
GAFAのような大手IT企業と比較すると、Netflixが注目を集めるまでの歴史が思ったより長いことに驚きます。

創業は1997年の春。

なんと、創業は今から20年以上前の1997年。

創業者は、30代半ばのリード・ヘイスティング氏と30代後半のマーク・ランドルフ氏。
ITベンチャーと聞くと、Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏のような学生時代に起業してしまうイメージもあるのと比べれば、
いずれの創業者も30才超えの脱サラ組というのは意外。

そして、思ったより歴史が長いですね。

当時は、Amazonが書籍をインターネット上で販売し始めたころでした。

Netflixでは「書籍以外の何かを扱うアマゾンをやりたい」と考え、最初はオンラインDVDのレンタル事業からはじまりました。

オンラインDVDレンタル事業と、打倒ブロックバスター!

著書の中で印象的なのは、ブロックバスターとの競争関係に関する記述が多いこと。

Netflixが創業した頃のアメリカにおいて、ブロックバスターはビデオレンタル業界の1位の企業でした。

ネットフリックス側は代替案として、5千万ドルでネットフリックスを買収しないかと打診してみた。ステッドに笑い飛ばされたが、ネットフリックス側の3人は驚きもしなかった。カリフォルニアへ戻る機中、3人は意気軒高だった。「ブロックバスターは後になって大きなミスを犯したと気付いて、きっと後悔することになる

当時、電子商取引の世界では、アマゾンは赤字経営から抜け出せておらず、iThunesもまだ秘密のベールに隠されたままでした。
この時に買収しておけば良かったものを、当時の最大手DVDチェーンはその価値を低く見積もってしまったのですね・・・。

その後、ブロックバスターもオンラインレンタルの必要性を感じ、圧倒的な会員数を武器に、Netflixのまるでコピーのようなサイトをリリースします。技術力 vs 顧客数の熾烈な戦いを数年に渡り繰り広げました。

ネットフリックスを5千万ドルで買収するチャンスを棒に振り、その失敗を穴埋めするのに5億ドル以上も使わなければならなかった。ネットフリックスも同じ時期に同じ金額を投じなければならなかった。結果として完璧なプラットフォームを完成させている。何年にも及ぶマーケットテストと絶え間ない改善の産物である。

この著書でなぜこれほどまでにブロックバスターの記述が多いのだろうかと不思議に思っていたのですが、もし、ブロックバスターが最初にNetflixを買収していたのだとしたら、今のようなプラットフォームは完成していなかったかもしれません。ライバルとは偉大なものですね。

ストリーミング配信の開始と市場の波乗り、”第4の存在へ”!

2000年代に入ると、光ファイバー網の構築によってアメリカの一般家庭にブロードバンド回線が普及し、本格的なデジタル配信時代が訪れます。この時、映画スタジオ各社が心配したのは海賊行為の急増でした。

海賊行為を防ぐための代替案としてスタジオ各社が望みを託したのが映画のダウンロードサービスでした。しかし、技術的なハードルが高く、1本の映画をダウンロードするのに40分かかっていました。こうして、デジタル形式のダウンロードサービスはコストと規制が足かせとなり、どれも失敗に終わっていきます。さらに、アメリカ国内のブロードバンドの普及が思ったより遅いという問題もありました。

YouTubeを高く評価していたNetflixのヘイスティングスは、安価で使いやすいストリーミング専用セットトップボックスの設計に取り掛かります。

2008年秋には、リーマンショックで「コラボ消費」の波に乗ることができました。消費者は節約に走って自宅にこもり、ネットフリックスに加入して格安のエンターテインメントを楽しむようになりました。家庭用ゲーム機や携帯電話など、ストリーミングサービスを楽しめるデバイスが増え、家族全員で同じエンターテインメントをシェアすることが可能になりました。08年暮れから09年初めにかけて、新規加入者は1日あたり1万件前後に達していました。

その後、郵便DVDレンタル事業から、ストリーミングへと急ピッチでシフトしていきます。

アメリカ人一般家庭の1日平均視聴時間5時間をめぐり、ケーブルテレビ・衛星放送・通信会社の3勢力と競い合うようになっています。そんななか、ネットフリックスはどうなるでしょうか?映画スタジオとテレビネットワークにとっていつか最大顧客の一つになると思っています。ケーブルテレビ・衛星放送・通信会社と並ぶ第4の存在、つまりインターネットテレビになるのです

これまでケーブルテレビでは、事前に決められた放映スケジュールでしか視聴することができませんでした。さらに、チャンネルをパッケージにしてまとめて提供する「バンドル」が音楽アルバムに相当すると考えていました。iThunesが1曲単位での購入を可能にしたのと同じように、Netflix経由であればバンドルをばらばらにして好きなチャンネルだけ視聴することが可能になりました。

感想

Netflixという名の「トロイの木馬」

Netflixは当初、経営規模で地方のケーブルテレビ局にも及ばない企業でした。
テレビ局はいずれ脅威になるとはこれっぽっちも思わず、デジタル配信権を売ってしまった
まさに”トロイの木馬”という表現に相応しく、震えるような事実です。

ランドルフは物思いにふけっているうちにハッと気付いた。
そうか、我々はとんでもないことをやり遂げていたんだ!

上記は本書の最後の文を引用しました。恐ろしい!!
創業者の一人であるランドルフですら、今のNetflixがコンテンツ帝国を築き上げることに無自覚だったということでしょう。
逆に、最初からテレビ局を相手取って、第4の存在を目指していたとすれば、とっくのとうに消えていたかもしれません。
地味な存在と思われていた弱兵が何度とくる波に乗り、今では打倒Netflixと呼ばれるまでに成長したというのは驚きです。

コンテンツ自主制作の背景については記載なし

Netflixと言えばオリジナルコンテンツの充実さだと思っているのですが、なぜオリジナルコンテンツを始めたかについては残念ながら記載はありませんでした。世界的なパンデミックや、オリジナルコンテンツが、今後どのように影響していくのか、注目していきたいところです。

次に読みたい!オススメ書籍!

Spotify創業者のお話です。

2021年にはNetflixのオリジナルドラマ化が決定しており、

スウェーデン発祥の起業がいかにAppleのiTunesと立ち向かい、成長したかがわかる書籍です!

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